渋谷駅のハチ公前広場に置かれている電車、通称「青ガエル」が、秋田県大館市に移設されることが発表されました。渋谷という若者の街の風景に、緑色のレトロな電車の佇まいは1つのアクセントとして馴染んでいましたが、100年に1度という規模で行われる再開発で、渋谷の街から姿を消すことになります。鉄道ファンでなくても少し寂しい気がします。
青ガエルの歴史と現在
「青ガエル」の正式名称は「元東急5000系電車」で、1954年東横線にデビューしました。そこから32年間、1986年まで東急線の現役車両として活躍しましたが引退となりました。以降、長野や静岡に活動の舞台を移し、2016年熊本電鉄に行った最後の電車が引退となって、走る姿は見られなくなっています。
そして、ハチ公前広場の「青ガエル」は、2006年に東急電鉄から渋谷区が譲り受けたもので、「青ガエル観光案内所」として活用されています。一部の心ない人に落書きされたこともあります。ひどいことをするものです。
移設はいつ?青ガエルと移設先・大館市の関係は?
移設プロジェクトによると、「青ガエル」は今後、2020年5月下旬から6月上旬にかけて、渋谷駅ハチ公前広場から移設。7月より、大館市観光交流施設「秋田犬の里」芝生広場にて、「忠犬ハチ公」を中心にした渋谷と大館の歴史に関する展示をしながら、施設来場者の休憩場所として使用する計画だそうです。
なぜ大館市なのか?それは、、、忠犬ハチ公の生まれ故郷というつながりでした。秋田犬のハチは1923年に大館市で生まれ、1924年に飼い主の東大農学部・上野英三郎博士のもとへやってきました。毎日ご主人さまを渋谷駅まで送り迎えしていたハチは、飼い主が大学で急死して帰ってこない中、ずっと飼い主を渋谷駅で待っていたというエピソードから、渋谷駅前にハチ公像が設置されたという経緯があります。
そのハチ公前広場に設置された「青ガエル」が、ハチ公の生まれ故郷、大館市へ移設されるー何かいい話ですね。ちなみに2019年までは、JR大館駅前にもハチ公像があったそうです。(現在は「秋田犬の里」に移設)
今回の「青ガエル」の移設は、渋谷駅前再開発がその主な理由ですが、こういうエピソードを知ると何か心温まる深イイ話ですね。もともとは関係がなかった犬と電車が、渋谷の街で一緒になって、生まれ故郷でまた再会することになります。
青ガエルはまだ走っている?根強い「青ガエル」人気!
もちろん同じ型の電車ではありませんが、「青ガエル」人気は別車両のラッピングとして続いていました。
↑の電車は、5000系5122編成というのだそうでうが、東横線開業90周年を記念して2017年9月から運行されています。当初1年間の予定でしたが、好評のため2019年9月まで延長され、さらに再延長となりました。2017年当時は90周年のヘッドマークがありましたが、現在は外されています。この緑色は不滅の人気のようですね。